2023からの記録

2024年10月26日 (名城大学 ドーム前キャンパス DN302室)

第一講演: 14:30 〜 15:30

講演者: 小松 亨 氏  

講演題目:奇数次二面体群拡大の2次部分拡大の生成元

講演概要: nを正の奇数とし、D_nをn次二面体群(位数2n)とする。本講演では、D_n拡大M/Kの中間体LとN(ただし[L:K]=n, [N:K]=2)に対し、n次拡大L/Kを定義するn次多項式f(x)から2次拡大N/Kを生成する元aを求めるアルゴリズムを紹介する。

第二講演: 16:00 〜 17:00

講演者: 小松 啓一 氏(早稲田大学)

講演題目:ヒルベルトの17問題とノイキルヒの仕事

講演概要:アルティンによる 実体をもちいた17問題の解決とノイキルヒによる p進体の絶対ガロア群の特徴付けについて、大学院時代の思い出とともに話します。

2024年7月20日 (名古屋工業大学 52 号館 1 階 5214 教室)

第一講演: 14:30 〜 15:30

講演者: 岸 康弘 氏(愛知教育大学)  

講演題目:5次二面体群をガロア群に持つ5次多項式の族

講演概要: 本講演では,ウェーバーの6次分解方程式(the Weber sextic resolvent)とある楕円曲線を用いて,ガロア群が5次二面体群D_5と同型になるような有理数係数を持つパラメトリックな5次多項式の族を構成する方法を紹介する。

第二講演: 16:00 〜 17:00

講演者: 田坂 浩二 氏(近畿大学)

講演題目:球面デザインとモジュラー形式のフーリエ係数の非零問題

講演概要:II型格子のシェルに対する球面デザイン的なstrengthを決定する問題について,楕円モジュラー形式の理論を援用するVenkovの方法に触れ,他の格子に対する講演者の観察を紹介する。また,格子の球面デザイン的な特徴付けに関する最近の仕事についても言及する。

2024年5月25日 (名城大学天白キャンパス共通講義棟東 E-201室)

第一講演: 15:00 〜 16:00

講演者: 平尾 将剛 氏(愛知県立大学)  

講演題目:球面上のデザイン理論とその展開

講演概要: 本講演では,主に (代数的) 組合せ論研究者がDelsarte-Seidel-Goethals(1977)により導入された「球面デザイン」に対し,どのような課題意識を持って研究してきたかを講演者の知る限りではあるが,主要と思われる結果を掻い摘んで紹介を行う.また,近年における球面デザイン理論の展開について,特に講演者の研究結果を踏まえながら紹介する.

第二講演: 16:20 〜 17:20

講演者: 後藤 新裕  氏(九州大学)

講演題目:Ramanujanのtau関数の取り得ない値について

講演概要:1947年, LehmerはRamanujanのtau関数が0にならないことを予想した. Serreはこれに対し, tauの値が0になる素数の密度が0であることを示したが, 完全には未だ解決に至っていない.

そこで, 与えられた整数がtau関数の値になり得るかという自然な疑問を持ち, 近年, Balakrishnan, Ono, Craig, Tsaiらをはじめとする多くの方々により, tauの絶対値にl, 2l, 2l^2(lは100未満の奇素数)などが現れないことが示された.

講演者は今回, l, 2l, 4l, 8l(lは1000未満の奇素数)が14個の場合を除いてtauの絶対値には現れないことを示した. 本講演ではこの結果について, Lehmer予想の一般化であるAtkin--Serre予想との関係に触れながら述べる予定である.

2024年1月27日 (名古屋大学 多元数理科学棟 109教室)

第一講演: 14:30 〜 15:30

講演者:Séverin Philip 氏(京都大学数理解析研究所)  

講演題目:On Oda's problem and special loci

講演概要: For natural integers g,m verifying the hyperbolicity condition 2g-2+m > 0, Oda showed that there is a universal pro-l-outer representation attached to the fundamental group of the moduli space of curves of type (g,m). Oda's problem is then concerned with the fixed fields of the projections to the absolute Galois group of Q of the kernels of these representations. The question is whether these fields are independent of g and m and thus all equal or not. I will first present this classical problem starting from the case of the projective line minus three points. Then I will introduce the special loci, that are subspaces of the moduli space of curves, and a variation of Oda’s problem for these spaces. For the last part of my talk I will present how this new version of Oda’s problem relates to the classical one and give an overview on how to resolve it in the case of special loci of cyclic groups of prime order. This is done by an adaptation of Ihara-Nakamura’s maximal degeneration method. 

第二講演: 16:00 〜 17:00

講演者: 松月 大知  氏(名古屋大学大学院多元数理科学研究科)

講演題目:正標数多重ゼータ値のある変種について

講演概要:正標数の数論における多重ゼータ値はCarlitzの先駆的な研究 (1935) を受けたThakur (2004) により導入された.Anderson-Thakur (2009)がt-module及びt-motiveを用いた多重ゼータ値の解釈を与えて以降,その線型独立性や代数的独立性に関する研究が多くの研究者により行われている.講演では正標数多重ゼータ値のある変種を取り上げ,それらの性質に関して得られた結果を報告する.

2023年11月11日(名古屋工業大学52,53号館1階5214講義室

第一講演: 15:00 〜 16:00

講演者:小松 亨 氏 氏

講演題目:あるタイプの超楕円曲線の虚2次整数点について

講演概要: 平方ではない, 偶数次モニックな有理整数係数の多項式f(x)に対し超楕円曲線C:y^2=f(x)の虚2次体K上の整数点からなる集合C(O_K)の和集合\bigcup\limits_{K:虚2次体} C(O_K)が有限集合であることを, 初等的に証明できることを紹介する. 主要な内容は

T.Komatsu, Bull. Hell. Math. Soc. 67 (2023) 59-72

https://bulletin.math.uoc.gr/issues.html

に掲載されている.

第二講演: 16:30 〜 17:30

講演者: 水野 義紀 氏(名古屋工業大学)

講演題目:ハッチンソン予想について

講演概要:楕円モジュラー関数 j の虚二次無理数での特殊値(特異モジュラス)に関するグロス・ザギエの公式がある。互いに素なふたつの基本判別式から類多項式(特異モジュラスの有理数体上の最小多項式)がそれぞれ決まるが、それらから定まる終結式の値を明示的に与えるものがグロス・ザギエ公式である。ハッチンソン (1998) は判別式の条件を緩める方向で数値実験を行い、グロス・ザギエ公式の一般化を予想した。この予想が部分的に解けたので、そのことを報告する。証明はグロス・ザギエの第二証明に従うものであるが、そのためには予想式を種の指標を用いて再定式化することが必要である。また、ペアの類数がヒルベルト型アイゼンシュタイン級数のフーリエ係数と結びつくという事実を一般化する必要もある。種の指標、付随するL関数の明示式とその応用も併せて紹介する。 

2023年7月15日(名城大学天白キャンパス共通講義棟東 E-201室)

第一講演: 15:00 〜 16:00

講演者:岸 康弘 氏(愛知教育大学)

講演題目:Luの定理とShanksの実2次体

講演概要: 1以上の整数tに対し、Δ:=(2^t+3)^2-8と定義し、h(Δ)で判別式がΔの実二次整環の類数を表す。ShanksはΔがsquare-freeという仮定の下で『h(Δ)=1⇔t∈{1,2,3,4,5}』が成り立つことを予想し(1969年)、Mollin-Williamsはそれを示した(1991年)。本講演では、Luの定理(1979年)を用いて上記同値の別証明が与えられること、またLuの定理を拡張することで、仮定「Δがsquare-free」を外しても同値が成り立つことを解説したい。

第二講演: 16:30 〜 17:30

講演者: 小田部 秀介 氏(名古屋工業大学)

講演題目:不分岐コホモロジーと0次Suslinホモロジーについて

講演概要: 固有非特異代数多様体の0次Suslinホモロジーに関するある移動補題を確立した結果, 不分岐コホモロジーが固有非特異代数多様体の(motivic)双有理不変量を与えるということが分かったのでそのお話をしたい. 講演では有理性問題との関連や既によく知られていた古典的な場合および先行研究にも触れながら, 主結果の概要についてお話したい. 本研究は甲斐亘氏と山崎隆雄氏との共同研究である.