2024年12月21日
愛知数論セミナー
第一講演: 14:30 〜 15:30
講演者: 大西 良博 氏 (名城大学)
講演題目:An observation on Kummer-type congruence relations for the Bernoulli-Hurwitz-type numbers arrising from vanishing of elliptic Gauss sums
講演概要: p > 3 を mod 4 で 3 と合同な素数とする.
√(-p) で生成される虚 2 次体の類数 h(-p) と (p+1)/2 番目の Bernoulli 数は mod p で合同であり, h(-p) < p/2 ゆゑ, この合同式から h(-p) そのものが得られることは, よく知られてゐる.
これの類似として以下のことが成り立つ.
Gauss 数体上定義され, 導手が“ほぼ”素元の平方 λ^2 で, しかも Gauss 数体に虚数乗法をもつ様な楕円曲線のある族に属する楕円曲線について, それの analytic rank が 0 であれば, Tate-Shafarevich 群の位数の平方根のどちらかが elliptic Gauss sum(以下 egs と書く)の係数と呼ばれる主要部分と一致する.
これの原着想は Birch と Swinnerton-Dyer の 1965 年の論文にあるが, 浅井哲也氏による研究(論文は 2007 年)が大きい.
さらにそれが楕円函数 cl(cosinus lemniscatus) の原点での羃級数展開のある「展開係数」(Bernoulli-Hurwitz 型の数)の mod λ として得られる(講演者の論文 2010 年).
(Eisenstein 数体の場合の対応する結果が後藤新裕氏によつて得られてゐる(2021 年頃))
上の結果を敷衍して egs が消える場合(即ち analytic rank > 0 のとき)を考察した結果, egs が消えることと上記の「展開係数」のいろいろな組の間に Kummer 型の合同式が成り立つこととが同値であることがわかつた(2019 年頃).
然るに, その後の計算実験によつて, その合同式の成立範囲がもつと広がる可能性が出てきた.
本講演では, 上記の仕事を振り返つたあと, 最近に行つた計算実験が示す合同式の拡張の可能性について述べたい.
本講演の内容は, 西来路文朗氏との共同研究による.
第二講演: 16:00 〜 17:00
講演者: 許斐 豊 氏(名城大学)
講演題目:有理数体上の素数次ガロア拡大を復元する十分条件
講演概要:与えられた有理数体上の二つの有限次ガロア拡大が一致する十分条件は昔から研究がなされており,よく知られている条件として,例えば数論的同値が挙げられる.本講演では,有理数体上の二つの総実な素数次ガロア拡大の単数基準,判別式,および類数が等しいとき,この二つの体は一致するのか,という問題についての考察をある予想の下で述べる.なお,この講演内容は学習院大学の飯塚義睦氏との共同研究に基づくものである.